屋烏 (講談社文庫)



屋烏 (講談社文庫)
屋烏 (講談社文庫)

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大満足! こころ温まる全5篇

本の題名がいまいちピンと来ないので難ではあるが、著者の数ある著書の中でも抜群の出来栄えではないだろうか? 収録全5篇共、読み終わった後の爽快感、満足感、幸せ感は非常に心地良い。読んで幸せな気分になる超お薦め時代小説!


■「禿松(かぶろまつ)」:
祝言まであと二月と迫っていた。しかし、それまで待てない若侍。許婚に手をつけた現場を親とその上役に見られ二人の人生が狂いだす。その後、上士に嫁いだ元・許婚と、婚期を逃した現妻を娶った主人公。揺れる男心になんともハラハラさせられる。しかし、妻は逞し。

■ 「屋烏(おくう)」:
表題作。そうかー、よかったなー、よかったよかった。やっと幸せを見つけたね。苦労は報われないと!
 父が政変に巻き込まれ惨殺されて以来、一家の大黒柱となり幼い弟を育て上げた姉。気がつけば、婚期はとうに過ぎていた。妻を迎えた弟一家の為に家を出るしかなくなってしまった。武家の宿命を背負った姉の一生とは何だったのか?。しかし、別の宿命を背負った侍が現れ・・・・・。

■ 「竹の春」:
これはまさに、藤沢周平さんの世界です。思った通り、十分納得!
しかし、なんとも人間の醜さよ
 脱藩した侍に娘を道連れされた一家の主人。その一歳違いの兄から部屋住みで毎畑仕事を強いられている弟に命令が下された、「娘を連れ戻し侍を始末しろ」。
武家において、1つ違いの兄弟の処遇差と葛藤。そして、現世にも通じる「卑しい人間」が描かれる。

■「病葉(わくらば)」:
これは辛い。しかし、最後は心温まる。愛情とは、何たるものぞ?
 息子と歳が変わらない器量良しの娘を後妻にした奉行の父。その継母に切腹を迫る息子。母と呼べる日は・・・

■「穴惑い(あなまどい)」:
何だろう?何だろう? このまますんなり終わるはずはないよナーと思って、明けてみれば、「そうか、そう来たか、やられたー」感服! しかし、これは凄い内容だ。
 
父の敵討ちの為34年も帰らなかった主人が突如帰ってきた。苦労を全身から漂わせる妻、藩も本家当主に成り代わった叔父も戸惑う。さて、本懐を成就しても厄介者でしかない侍。さて、すんなりその地位を継承、復活させられぬ、人間の醜さよ

■お薦め度:★★★★★(超満足!)

先が気になる、結末が知りたい作品集

なんというか、地方藩士の生活を通じて生きることの難しさを描いた5編、とでも言おうか。

乙川さんの作品は、緻密で穴がなく、話の流れも確かで読みやすい。
本作の5編もそこに違いはないのだが、特徴としていずれも結末がわからず、その後どうなったかを読者の想像に任せる終わらせ方をしている。
それも読書の楽しみ方なのかもしれないが、そうした想像力に乏しい私としてはハッキリ書いてくれないとスッキリしない。
なので星は4つにさせてもらった。

収録編の中では、表題作の「屋烏」と巻末の「穴惑い」が特に良かった。
「屋烏」は幼かった弟を女手ひとつで育て上げ婚期を逸した姉が、今後どう生きるべきかを探る話、
「穴惑い」は新婚早々仇討ちの旅に出た藩士が、本懐を遂げて34年後に帰藩し諸々の処理に奔走する話。
内容も興味深く、いったいどのような終わり方をするのか、先が気になりどんどん読み進んで行ける。

短編だけに、「屋烏」では主人公・揺枝と弟や嫁との家族としての暮らしぶりなど細かい部分が描き切れていないように思える。
長編として読みたかった作品である。
濃密な短編時代劇

 江戸後期の地方藩士達の人間模様を濃密に描いている。御家内部の暗闘に、下級武士が翻弄される。そんな中でも、彼らはなんとか義を通し情を重んじようと苦悩する。時には封建的な社会制度の矛盾に揺れる。
 「禿松」の、最後の最後で確かに通い合う妻との信頼。「屋烏」の一途。「竹の春」の、遅咲きながら訪れた自立への覚醒。いずれも印象深い。さすが、どれを読んでもハズレなしの乙川作品である。
美しい物語

乙川優三郎さんの表題作を含む全5編からなる短編集。

なんとなくだけど、美しい物語だと感じた。

各々の情景が想像力に乏しい私にでさえ美しいと感じることができたと思う。そして登場人物もまた美しいというか、けなげというか、前向きというか、見習いたいなぁ。丹念に描かれた登場人物たちは、皆前向きでひたむきで共感をし応援もしながら読んでいった。
最後のお話「穴惑い」の関蔵・喜代のような夫婦になっていきたいな・・・・・なんてね(笑)。



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